お口の悩みQ&A (3/4)
はじめて歯科の診療椅子にすわることは、子供にとって不安と恐怖であることは間違いありません。ましてや見慣れない器具や薬品の臭いの中で、さらに痛みに耐えじっとしていなければならないことが加わればさらに辛いことになります。したがって子供が、歯科治療を拒否するのは当然のことなのです。歯科医師はそのことを十分に踏まえて、その子供にあった治療をしていきます。個人差もありますので初めから上手に治療できないかもしれません。椅子にすわるところから始め、徐々に慣らしていきます。
もちろんきちんと治療できる場合は問題ありませんが、何もしないで様子を見るという場合もあります。子供と歯科医との間に信頼関係をつくる大事なステップです。
以上のように子供は、治療をすること自体が困難なことも少なくありません。きちんとした食生活や歯磨きの習慣を身につけさせることが最も重要です。治療よりも予防が大事なのです。
子供にとって最も重要なことは、この時期にきちんとした生活習慣および食事習慣を身につけることです。大人は治療を目的化してしまうので、早く済ましてしまいたいと考えてしまいがちですが、子供の場合は治療に至るまでの過程も大事です。
例えば一本の虫歯があったとします。ただその虫歯の治療をしただけでは、またすぐ他の歯も虫歯になってしまうでしょう。どうして虫歯になったかを考え、悪い習慣を改善するのが大切です。もちろん大人でも同様ですが、大人の場合は一度身についた習慣はなかなか変えられません。子供の時に身についた良い習慣はその子にとって、一生の宝になるでしょう。
朝早起きして朝食をしっかり食べて元気に遊ぶ、さっぱりして気持ちいいから歯磨きをちゃんとする。そのような基本的な生活習慣を身につけさせるのが、子供の歯科治療の基本となります。
日頃、ポカーンと口を開けてテレビを見ていたり、無心になって遊んでいる時に上下の歯の間に舌が出ていたり、飲み込むときに舌を突き出し、歯を押すような癖を舌癖といいます。
私達は無意識に一日に600~2000回飲み込む動作をしていますが、歯並びに悪い影響を与えない正しい飲み込み方をします。
くちびるを閉じて舌を上顎につけ、奥歯をかみ締め、のどを使って飲み込みます。
舌癖のある人は、いつも舌が口の中の前下方にあり、歯を押しています。そして飲み込む時には、さらに押し出す強い力が歯に加わります。
舌癖のある人は、いつも口を開けているため、舌が内側から歯を押す力に対して、外側から押さえるくちびるや、ほほの筋肉に力がありません。そのため、舌癖が原因で出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間が開いたり、上下の歯がかみ合っていない状態になることがあります。
また、話をする時に、隙間に舌を入れてわざと息が漏れないようにし、舌足らずな発音になることがあります。
しかし、乳歯から永久歯に生え変わるときには、歯の大きさの違いから隙間は存在します。
舌癖の有無については歯科医院で確認してもらうと良いでしょう。
舌癖をなくす方法や口の周りの筋肉をトレーニングする方法等を教えてもらえるでしょう。
三歳児健康診査では、口の中の状態を大きく四つの型に分けて説明しています。
四つの型とは、O型=虫歯が認められない、A型=上の前歯か臼歯のどちらかに虫歯が認められる、B型=上の前歯と臼歯の両方に虫歯が認められる、C型=下の前歯に虫歯が認められる。
A型からB型、C型となるに従い、虫歯は重症となります。
とくに、C型の場合には、最も虫歯になりにくい下の前歯にも虫歯があるわけですから、二十本全部が虫歯と考えて良いと思います。本来、三歳児では、虫歯が無くて当たり前と思ってください。
たとえA型でも、虫歯があれば、甘い物の量、種類、生活のリズム・習慣、食物の固さ、歯ブラシなどのどこかに問題があるはずです。改善してこれ以上虫歯をつくらないようにしてください。
上の前歯2本の間隔が開いて隙間があることを、正中離開と言います。
正中離開には、生理的(正常)なものと異常なものがあります。生えたばかりの永久歯の前歯では、ほとんどの人が離れて出てきます。生えてから2、3年たち、犬歯が生えてくる時に離開が閉じてきますが、自然に閉じないものもあります。
例えば、余分な歯(過剰歯)が正中部に埋まっていることや、上唇から伸びている「すじ(上唇小帯)」が硬く正中に入り込んでいる場合、真ん中から2番目の前歯が奥にある場合等、処置が必要な場合があります。
3ミリも開いていても自然に治る場合もあれば、1ミリでも治らないこともあります。歯科医に相談してください。
お子さんの歯(乳歯)がなかなか生えてこないという主訴で来院される方が最近増えているようです。
一般に、生後6ヶ月後に下の前歯、次に上の前歯が生えてきます。
もちろん個人差はありますが、1歳半検診の時期には上が8本、下が8本、計16本の歯が生えているのが平均的な歯数です。
また、出産時すでに歯が生えている先天歯と呼ばれているものもあり、これに関しては専門的な検査を受けることをお勧めします。
歯の先天欠損と比較すると、その症例は少ないようです。
但し、乳歯の先天欠損が認められる場合、後継(永久歯へ生えかわる大人の歯)も欠損を伴う場合が多く、将来的には歯並びまで考慮した上での精密検査・診断が必要となってきます。
2つの正常な歯がまだ歯胚(歯の元)の状態にあるときに合体したものを言います。
歯の一部分が癒合したものから、歯冠が完全に癒合して、歯根を共有するものまで色々な癒合歯があります。
永久歯よりも乳歯に多く、下あごの前歯に最も多く見られます。
一般に乳歯が癒合した場合、その後の永久歯は欠如したり癒合したりすることが多いです。
また、癒合乳歯の近心側後継永久歯の欠如が見られます。
先天欠損とは、生まれつき歯が顎の中に作られず、歯が生えてこないことを言います。
原因としては、諸説色々あります。人間は進化の過程で少しずつ歯の数を減らしてきていますが、その進化形であるとの考えが一般的です。
男性よりは女性に多く、近年では第3大臼歯(親知らず)の欠損は一般的で、歯列には数えないことが多いです。
ヒトの歯は、前から順に(片側)前歯2本、糸切り歯(犬歯)1本、小臼歯2本、大臼歯3本ですが、糸切り歯(犬歯)を除いて、後ろの歯が先天欠損になりやすいです。
前歯では側切歯、小臼歯では第2小臼歯、大臼歯では第3大臼歯といった具合です。
歯の数が足りなくても大きな問題にならないことが多いですが、歯と歯のすきまが大きかったり、傾いていたり、重なってしまっているとハブラシがうまくできないことが多く、虫歯になりやすかったり、歯周病のリスクが大きくなってしまいます。
また、将来歯の数が足りないことがコンプレックスになることもしばしばあるようです。
治療方法としては、矯正治療や、ブリッジ、インプラント等の補綴処置になります。